不眠症とは
睡眠トラブルによって十分な睡眠が得られず、日常生活に支障をきたす状態を意味しています。睡眠時間には個人差がありますので、ご自身が「十分に睡眠がとれている」と感じておられる場合は、短時間の睡眠であっても不眠症とは呼ばれません。これとは逆に、睡眠時間が長かったとしても、十分な熟睡感が得られず、昼間の生活などに支障を来たしている場合は不眠症となり、専門医による治療が必要となります。
不眠症の原因
不眠症に陥る原因は多岐にわたっており、一人ひとり異なっています。但し、多くの方に見られる原因が幾つかあります。
まず一つ目は心理的なストレスです。私たちの日常生活の中では、職場や学校などでの人間関係、ハードな仕事や勉強などによって悩んだり、イライラすることも少なくありません。こうしたストレスは交感神経を活発化し、副交感神経を抑制しますので、不眠症の現認となりうるのです。
また、身体的な要因によって眠りが妨げられることもあります。痛みや痒みなどはご本人にも分かりやすいのですが、睡眠時無呼吸症候群はご本人の自覚が少ないので注意が必要です。
抑うつ状態が続いた場合も、慢性的な不眠を引き起こしやすいです。実際、不眠症の方の半数弱は何らかの精神疾患状態が見受けられると言われています。
この他、お酒(アルコール)、コーヒー(カフェイン)、たばこ(ニコチン)も快眠を阻害する要因となります。抗がん剤やステロイド薬などの副作用として眠れなくなることもありますし、時差ボケなどが原因となることもあります。
不眠症の治療
不眠症の治療は、快眠が妨げられている原因によっても異なりますが、基本的には生活習慣の改善と薬物療法が中心となります。
生活習慣の改善については、患者様それぞれの置かれている環境が異なりますので、医学・医療的に好ましい生活習慣を全て実施できないケースも多いのです。しかし、不眠症の改善にとって必要なことなので、出来ることから実行するようにして下さい。
具体的には、部屋の温度や明るさを調整して睡眠しやすい環境にする、寝る前にリラックスできる趣味(音楽や読書など)を行う時間を設ける、食事は睡眠の4時間くらい前までに済ませる、入浴は1~2時間前に済ませて身体を適度にクールダウンする、などの対策が効果的とされています。
薬物療法では、患者様それぞれの症状を見極め、専門医が適正な薬を処方いたします。具体的には、睡眠導入剤を中心とし、場合によっては抗うつ薬や抗不安薬、抗精神疾患薬などを併用します。
なお、薬を途中で止めると、リバウンドで不眠が悪化するなどの問題が生じることがあります。医師に指示された用法・容量を守り、正しく服用するようにして下さい。また、睡眠薬をお酒と一緒に飲んではいけません。睡眠薬を服用したときは、30分以内には寝床につくことも重要です。